KYOTO

Model : ミッシェル福島 / Graphic : TOMOSHI / Photographer : 成田 弘
Supecial thanks : JR西日本コミュニケ-ションズ



お盆にお里返帰りしてきた。

と言っても、京都には 頻繁に訪れているので、 久しぶりでもないのだが、 今回は、ニュ一スな出来事があった。

まず"京都駅ビル"が、7月12日、 ついにオ一プンしたこと。

JR西日本などが、総工費1500億円 と約4年の歳月を費やした ビックプロジェクトで、規模は、 「ヤッタネ」の日本一。

その昔、高校生だった私は モデルの仕事に行く為、京都駅の きちゃないトイレで着替えてたっけ。 今の高校生は、イイよなぁ一 と思いつつ、わが別荘へ一一一。

「元気してた? パパ、ママ ! 」

いつもの様に、土産のない私は、 お喋りでサ-ビス。 一段落して、2階の自室へ。 ところが"ドレッサ一"がない のに気付き、ママに尋ねてみた。

「ドレッサ一は?」 するとママこと"レイコ福島"は、 こう答えるではないか。

「あ、アレ、捨てたワ」

15の時から愛用してる、 アンティ一クともいうべき ドレッサ一を捨てたって一。

「ま、いいやん。古かったし。 "猫"が住み着いてたから、 しゃ一ないわ」

ネコ?

「2ヶ月前くらいから、 ミャ一ミャ一聞こえて、 探したんやけど見つからへんから、 近所のネコや、と思ててね」

で?

「1週間くらい前に、 そのミャ一ミャ一が大きくなってね。 鳴き声のするアレの下を見たら・・・」

そしたら?

「も一びっくりしたわ。 生まれたてのかわいらしい 子猫が4匹もいて」

オイオイ。こともあろうに、 このミッシェル福島の ドレッサ一の下でお産ですか。

なんでも、部屋を換気する為、 開けっ放しにしていた窓から 猫が侵入したという。

京都の暑さを逃れた親猫は、 ここで、無事に子猫を生んだのだ。

うんま一。 ほのぼのする話じゃございませんか。 でも2ヶ月も猫と同居してたのに 気付かないなんて、ママらしいゾ。

ちなみに、猫は近所の人の手に渡り、 しっかりニオイの付いたドレッサ一は、 大型ゴミとあいなった。 続けてママ。

「あの、アレ。カ一ペットも捨てといたワ」 猫が住み着いちゃうのも頷るマイル一ム。 私が5月に、ここに来てから、ず-と、 時間がとまったままなのだ。

「これ、見て一」と ママがニコニコしながら、 1枚の写真を持ってきた。 そう、子猫の写真だ。

「一応、名前、付けたんよ。 これがね、"ミケ"。これが・・・ メガネがないと見にくいねぇ」と 目を細めてママ。

その夜、ふと、 こんなことを考えた一。

私もいつか 「実家でお産してくるワ」 なんて、美しく変貌を遂げた京都駅に、 降り立つ日が来るのかしらん?


FORBIDDEN FRUITS

Model & HairMake: Michelle Fukushima
Graphic : TOMOSHI



これが、物語の一部始終である。

三十過ぎの今となっては、 ま、レアでレトロな話ではあるが。

そう、あれは、我が輩が英国に 留学していた時代の出来事。 では、御一緒に・・・。

---ロンドン

ある日、スタイリストのアンジ一から、 お誘いの電話があった。

「金曜日、うちでパ一ティ一やるの、 いらっしゃいよ」

約束の夜、私は短い金髪を オ一ルバックにキメて、 彼女のフラットへ。

中は、ファッションピ一プルで 賑わいUKサウンドが心地良く流れていた。

暫く、私がモデルをしている デザイナ一達と楽しくお喋りしていたら、 アンジ一が1人の男性を連れてきた。

「彼、ジェレミ一。あなたのことが、 気に入ったんだって。話してあげて」

やだ、テレるじゃん、と思いつつ、 彼の顔をよ一く見ると、まだあどけなさが 残る少年ではないか。へッ?

「今、カメラマンのアシスタント をしてるんだ。まだ1年だけどネ」

なんでも彼は、カメラマンになりたくて、 高校をドロップアウトしたという。

「そうね一。カメラマンだったら一、 ノ一マン・パ一キンソンが好き」と私。

「ホント? 僕の尊敬する人物だよ」 と嬉しそうにジェレミ一。

ひと通り、写真の話に花が咲いた後、 彼は熱い眼差しでこう告げた。

「君、僕の初恋の人によく似てる。 イギリスと中国のハ一フだったけど」

「又、逢える?」という問いに、 私は電話番号を書いたメモでアンサ一。

一一翌日。 さっそくジェレミ一君からのラブコ一ル。

そして金曜の夜、 2人きりで会うことになった一一。

パブに落ち着き、 16歳の彼はギネスビ一ル。 20歳の私はジュ一スで乾杯。 ふいに、彼が神妙な顔で切り出した。

「僕、ゲイなんだ」 ギョ。男が好き!?

「今まで、女の子と付き合ったことないんだ。 でも、これじゃいけない と思っていた矢先に、君と出逢った」

それで?

「好きな君を抱いてみたい」

ウッ。

そして私の手を握りしめ、 こう訴えるではないか。

「CHANGE ME !」 (僕を変えてくれ !)

ヒェ一ッ。 そんなショッキングな台詞を 並べられても困っちゃう。 それに、私が初めて付き合う女性 ではない方がいいんじゃないの一。 きっとマジで女性嫌いになりまっせ一。

彼の真剣さにものおじした私は 「ゴメンね」と、パブを出てしまった。

そして数ヶ月後、街で男と抱き合って歩く ジェレミ一を見かけたのだった一。

「CHANGE ME 」 我が輩の忘れられない言葉である。


LANGUAGE

版画:TOMOSHI



"言葉が分からない"

ということは、えらく怖いことである。

世界各地を旅してきた私だが、これら の国では、ほぼ"英語"が通じ、どうに かコミュニケ一ションを図ってこれた。

ところがどっこい、アジアで日本と同様、 唯一植民地化を免れた"タイ"では、 全くと言っていい程、英語が通じない。

しかも、彼らの使う"タイ語"は、英語に 似ても似つかず、見当どころか、言葉 の響きは、まるで"パピプペポ"なのだ。

以前私は、タイのバンコクで、 こんな体験をしたのだった---。

---バンコク国際空港

私にしては超珍しく、 ツア一に参加していたので、 到着口で現地のガイドさんを 待っていた。

しばらくして、出迎えの人々で ごった返している隙間から 『FUKUSHIMA』 というサインボ一ドを発見。 私がそのタイ人に近づくと、 彼は流暢な日本語で 話しかけてきた。

「 フクシマさんですね。 僕がガイドのサ一ナットです。 さあ、行きましょう 」

彼が1人だったので 「 私と同じツア一の人は? 」 と尋ねると、こう答えた。

「 ツア一は、あなた1人です 」 エッ、私だけ!? きっと旅行会社は赤字だわな。

駐車場に着くと、黒塗りの 古〜い日本車の運転席に、 男性が1人座っていた。

「 乗って下さい 」とガイド。

私はてっきり、マイクロバスに 観光客と相乗り、と思っていたのに、 この男たちと私の3人だけで乗るの一。 マジ!?

「 荷物は、トランクに入れますか? 」 なんだか怪しい。 しかし、旅行会社や私の名前も 合っているし、と大きな荷物を 膝にかかえて、後ろの席に座った。

「 日本人の若い女性がタイに 1人で来るなんて珍しいですね。 仕事は何をしているんですか? 」

「 OLです 」と嘘で返事。

ガイドは、私と話をする度に、 ドライバ一に通訳するのか、なにやら タイ語でボソボソ会話していた。

「 ドライバ一が"あなたはタイの 男にもてそうだ"と言っています 」

と言うので、彼の顔をのぞくと、 不気味にも"ニヤニヤ"しながら 運転しているではないか。

車という密室。 外はどっぷり日が沈み、 道の両脇は深〜いジャングル。 そして2人がタイ語で話し出す。

「 パピプペポ。パピプペポ.....」

「 日本人の女は高く売れるぜ。 いくらにしようか 」などと、 話し合っているのではあるまいな。

分からない言葉が、猜疑心と 恐怖心を誘ってしまう。

時間がたつにつれ、私の想像力は さらにエスカレ一ト。

" 誘拐? " うち金ないゾ、 ではなくて、一大事になる前に、 赤信号で出てやる!

と決心したとたん、ガイドが言った。 「 ホテルに着きました 」

エッ!? 外を見ると ホンマに私の宿泊先ではないか。 ゲ一ッ。さっきまでの ミッシェル福島は何だったの〜〜〜。

そして別れ際彼が笑顔で告げたのだ。

「 明日から僕が、 すばらしい街" バンコク " を御案内しますよ、フクシマさん 」


PORTRAIT RIGHT

マネキン制作:山本 勲 / 撮影:渡辺 憲司
ミッシェル福島の顔をモデルに(肖像権)制作された"ミッシェルマネキン"。
オロナミンCのCMでキムタクが抱いていたマネキンをメイクした丹羽氏によってリニュ一アル。



Portrait right

これは"肖像権"という言葉である。

特に、海外で写真を撮る場合、 チト心がけてほしいのがこれ。 なぜなら、欧米では、この "肖像権"にシビアで、むやみ やたらにカメラを向けたり すると「肖像権、侵害!」と、 大事になりかねないからだ。

昨年私は、その事実を、 身を持って、体験したのだった--

--パリ

プライベ一トの旅、とはいうものの、 知り合いの雑誌社から「面白いネタ があったら持ってきて」と言われた ので、私はアンテナを張りつつ、 レ・ア一ルをリポ一タ一歩きしていた。

ここは以前、私が仏語の勉強 の為に、3ヶ月滞在した街で、 昔から若者達で賑う、日本で いえば"渋谷"っぽい所だ。

暫く歩くと、なにやら行列を発見。 パリっ子が並ぶなんて珍しいゾ、 と私は、列の1人に仏語で 尋ねてみた。

「ケス・ク・セッ?」

なんでもここは、最近オ一プンした、 ベトナム料理のテイクアウトの店で、 えらく評判が良いのだという。

メルシィ。ネタ頂き、とばかりに、 さっそく店の全景をシュ一ティング。

カシャ、カシャ。

そして、アングルを変えて撮ろうと した瞬間、二人の女性が、 私に向かってダダダ、、、、と 駆け寄ってきた。

ボンジュ一ル? って雰囲気 ではないわな、と思ったのも つかの間、二人は仏語で、 わめきだすではないか。

「ブジュブジュ ブジュブジュ一一!!」

二人のあまりの剣幕に、 ボ一ゼンとしていたが、 どうやら、私がこの二人 の写真を撮ったと思い込み、 イカリパクッているらしい。

そして私は、ピンときた。 胸の谷間が丸見えのチビTに 超ミニ&ハイヒ一ル。 化粧は、もうこれ以上塗り たくれません! 状態。

そう、ミッシェル福島は "売春婦"にからまれていたのだ。 ヤバ一一一!!

「撮った」「撮らない」で、 押し問答を続けていると、 いつのまにやらヤジ馬が、 私達を取り囲んでいるのに 気付いた。 イヤ一ン。見ないで。

すると女の1人が、 私のカメラをもぎ取って、 地面に叩きつけようとした。 そこまでする!?

キレた私は、素早くその手を つかみ、カメラを力づくでゲット。 も一、こんな連中と付き合って はいられまい。

パンクで鍛えた目つきで 2人をにらみつけ、 日本語でこう言い放った。

「 そこ、どきな 」

そして私は、ゆっくりとその場を 立ち去ったのであった一一。

結局、そのフィルムに彼女達は 写っていなかったが、 私はこの一件で、もっと注意して 写真を撮るようになった。

ところで、"写真"撮ってもいい?


DAUGHTER

モデル:ミッシェル福島



6月といえば、"花嫁" 。

そして、結婚とくれば、そう、"名古屋" である。

というのも、名古屋の結婚は、 日本一ハデで有名だからだ。

そのハデさは、特に" 結納 " と " 引き出物 " に代表される。

結納は本来、披露宴よりも、それ自体が、 両家を結ぶ大切な儀式、と名古屋の人が 重んじるため。

東京では見られない、豪華絢爛な宝船 (七福神が乗る様な船を象った 呉服飾り=長ジュバンの生地、 帯締め、帯上げなどで作る)を筆頭に、 10〜20もの結納飾りを前に、両家が 立ち合う中、厳かに儀式が取り交される。

引き出物は、普通2、3点なのだが、 名古屋ならではの " 大きくて重〜い "、 7点もの品々が用意されるのだ。

そして、結納から新婚生活をスタート させるまでにかかる費用は、 ヨー、ポポポン、ポポポン、の1千万円! 名古屋の人って見栄っ張りなんだから、 と私は解釈していたのだが、 実は、 それだけではない事実を発見したのだ。

以前、名古屋にマンションを 借りていた私が、近所の銭湯に一人、 出かけた時のことだった一一一。

鏡の前の洗い場で、体を洗っていたら 親子らしき二人連れが、隣にやってきた。 まあ、仲がイイのネ、とチラッと目をやると、 母が娘の背中を洗い始めていた。

フツー、逆じゃないのー、と思いきやその母は、 手慣れた手つきで、次から次へと、 娘の体を洗ってゆくではないか。

娘が小学生なら話は分かる。 が、しかーし、その娘は、 もうりっぱな二十歳過ぎ一。 お乳もポヨヨ〜ンしてるっちゅーに、 なんで、母が、乳まで洗うのじゃ。

洗い終えた母が娘に言った。 「シャンプーしてあげるわ」

娘は自然に下を向き、母は、 ヘアードレッサーよろしく、 娘の長〜い髪をウォッシュ、ウォッシュ。

スネ毛を剃っていた私の手が止まる。 なんなのこの親子は一!

そして、ピカピカになった娘に、 母が笑顔でこう告げた。 「湯船につかっておいで」

一人残った母は、さっきより 早いスピードで、自分の体を洗い始めた一。

名古屋では、 母と娘が二個一で銭湯にやってきては、 母が娘の体や髪を洗ってあげる。 こういった光景は、ちっとも珍しくはなく、 何度かこの場面に出くわした私は、 こう悟ったのだ。

名古屋の " 結婚 " がハデなのは、 両親が娘を愛するがゆえの結果なんだと。

こうして大事に大事に育てられた娘は、 ある日、愛する人に嫁ぐのである。

「お世話になりました。」 という言葉を添えて。


ENVY YOU

モデル:ミッシェル福島



日本で日本人が生活する場合、 日本人であることを、あまり意識しない。

ところが、海外で暮らしたり、 旅に出ると「日本人なんだなぁ」と、 実感する瞬間がある。

たとえば、チップのタイミングに 小銭が無くて渡しそびれたり、 話しかける時、思わず「あの一」 が出ちゃったり、ロンドンに留学中の 私みたいに、ムショ一に"タコ焼!"が 食べたくなるとか。

ま、後者の場合は、日本人というより、 関西人ちゃうの、だが、習慣や言葉、食の違いなどが、日本人を意識させるファクタ一となるのだ。

昨年11月、私は、1人の日本人として、考えさせられる体験をした一一。

--- 香港

2年前に訪れた時より、不動産屋の看板や広告がグッと増え、中国返還間近の慌ただしいム一ドが漂う。

そんな光景を見ながら、私は無事に、 チムサツイにあるホテルにチェックイン。 そして、李さんに電話を入れた。

「マジで、来ましたよ」

というのも、数時間前まで、 私はシドニ一に居たのだが、 カメラマンの李さんと国際電話で お喋りしていたら、私のコンポジ (プロモ一ション用の写真集)を、 撮影しよう!ということになり、 ノリで香港まで来ちゃったからだ。

「人間は、行動力だよ」と、 豪快に笑いながら李さん。 日本を出る時は、飲茶の予定は なかったんだけどな。

それはともかく、明日の正午、 撮影のアポをとった。

--- 翌日、私にしては超珍しく、 約束の1時間前に、セントラル駅に到着。 時間までブラブラしよう、と辺りを 歩いていたら、なにやら人だかりを発見。 側まで近づいてみるや、 その人の多さにド胆を抜いた。

なんなのこの人達は一一。 しかも、広東語ではなく "タガログ語"が聞こえてくるではないか。 ということは、全員、フィリピン人?  おまけに皆"女性"ときた。 うんま一。アキノ大統領でも来るの?

誰かに理由を尋ねてみよ、と足を踏み 出したら、人にぶつかった。

「痛っ!」 なんと、"つけ爪"が1本、マヌケにも 折れているではないか。

これから撮影だっつ一のに。腹立つ。

目の色を変えて、探している私の元へ、 黒いロングヘア一の女性が、カタコトの 英語で話しかけてきた。

「コンタクト?」

「違うの。つけ爪」と私。

つけ爪!? とミョ一な顔をされたが、 一緒に探してくれることになった。 探し始めて数分後、その彼女がみごと ミッシェル福島のつけ爪をゲット!

私は必殺ボンドを取り出し、そのつけ爪を 自分の爪にひっつけた。ピタッ!! それを見ながら彼女が言った。 「奥様と同じ。長い爪」

なんでも彼女は、フィリピンから この香港に"お手伝いさん"として、 出稼ぎに来ているという。

そして、自分と同じ境遇の女性達が、 毎週休みの日曜日、ここに集い、 雇い主への不満や母国の話などに、 花を咲かせるのだと教えてくれた。 納得している私に彼女が尋ねた。

「あなたナニ人?」

「日本人よ」

「日本? 行きたい! でも厳しい。 だから香港きた。でも、返還もうすぐ」

こう一気に話すと、さっきとは違った 眼差しで私を見つめ、こう告げた。

「 Envy you 」

実に彼女は、 「羨ましい」と言ったのだ。

そう、返還もなく、経済大国から来た "日本人"の私に対して。

香港が中国に返還される7月1日まであと数日。

あの女性を含むフィリピン人は、一体、 何処へ行くのだろうか。

さて、その時。


BEHAVE YOURSELF

モデル&レイアウト : ミッシェル福島
着付け : 宮部 美喜代



share mate

日本では、あまり 馴染みのない言葉だが ''同居人'' という意味を持つ。

欧米の若者の多くは、 家賃を安く上げる為、それぞれ、 share mateを持っていて、 1つのフラット(アパ-ト) で共同生活をしている。

友達同士で住む場合もあれば、 新聞の< share mate 求む!> という広告で知り合って、 住み始める人も多い。

エ-ッ、新聞広告で? 

と日本人には少々理解し難い発想だが、 それも、お国柄の違いってワケ。

実は、私も、 シドニ一に住んでいた頃、 その`share mate`と一緒に 過ごしたことがあった一。

--- シドニ一。

その頃、FMや雑誌のリポ一タ一をして いたこともあって、取材の為、1ヵ月半、 フラットを開けることになった。

お留守番いた方がイイかも、と私は、 日本人の集う場所に貼紙をした。

< 2ヵ月間の同居人求む! >

2ヵ月間というのは、 始めの1週間、一緒に住んでみて、 その人が信頼できるなら、 1ヵ月半のお留守番をお願いして、 後の1週間は、次の所へ移る準備など に当ててもらおうと考えたからだ。 など 数日後、家賃を激安にしたことも 手伝って、ジャパニ一ズガ-ルが大集合。

「ひとり暮しだと自由でいいですよね。 パ一ティ一、毎日できるし」

NG。

「オ-ストラリア中を、ボ-ッと 1人旅してるの。シドニ一もいいなぁ」

あっそう次の人。

なんだか、訳の分からない人ばっか じゃないの一、と諦めかけていたら、 真面目そうな子がやってきた。

アキ、19才だ。

この春、 高校を卒業してシドニ一に語学留学。 現在、ホ一ムステイ中とのこと。

めでたくアキに決定し、 1週間を共にした後、 私は予定通り旅立った。

そして、私が旅から帰った日、 こんなハプニングが起こった---。

夜中、酔っぱらったアキが、 なんと、男と抱き合いながら帰宅したのだ。

「そんな外国人、ウチには泊めないわよ」 と、私は一喝。

ところが、2人は「S o r r y ! 」 と言いながら、アキのベットへ崩れ込んだ。

ったく。ワンル-ムに見知らぬ男と一緒か、 と思いつつも、私はしかたなく、 ソファ一ベットに再び横になった。

すると、5分もしないうちに、なにやら、 妙な声が聞こえてくるではないか。

「 ア〜ン 」 「 ウ〜ン 」

これって" あの声 "? ム、ムッカ一! ミッシェル福島は、まだ起きているゾ。

それにしても、日本人女性は、海外で、 なぜ、こんなにも大胆になれるのだろう。

こんなことを考えている間に、 あの声は、さらにグレ一ドアップ! も一、ガマンの限界。 シ一ツ、剥ぎ取ってやる!

と意気込んだものの、チトおっかなくて、 勇気が出ない。エ一ン。たぬき寝入りじゃ。

そして私は心の中で、アキにつぶやいた。

「Behave Yourself」
( 行儀よくしなさい)

そう、1人の日本人女性として。


UNBELIEVABLE

モデル&イラスト: ミッシェル福島



日本で最も権威のあるパ一テイ一、 といえば、そう、皇居で開催される、 "園遊会"だろう。

ならば、英国では? というと、 かのクイ一ン・エリザベスが 毎年7月に主催する"バッキンガム パレス・ガ一デン・パ一テイ一"である。

実は昨年、このパ一テイ一で、 センセ一ショナルな出来事が 起こったというのだ。

あのバッキンガム宮殿で、 一体、何が起こったのか---。

先月、ロンドンからやってきた親友、 " Susie Bowler "にリポート願おう。

3、2、1、キュッ!

「パ一テイ一の真っ最中に "カミナリ"が落ちたのよ」

オット、いきなりのドッキリ発言。 なんでも、その日は曇っていたのだが、 突然、大雨が降り出し、木の下に 駆け込んだ女性に、カミナリが直撃した という。

「彼女の体に、電流がバリバリッと流れて、 黒〜い煙がモアモア出てきたの」 と興奮ぎみにSusie。

その場に居た様なリアルな表現。 さすが、カルチャ一クラブの 元ロードマネージャ一と思いきや、 こう続けるではないか。

「私、側で見てたの」

ナニ一。そんな修羅場を見てたって一。 さぞかし、夢見が悪かったでしょう。

Susieは、カミナリに嫌われて無事だった というが、"見た"ということは、 パ一テイ一に出席してたワケ?

「そう。今年で4回目」

マジ? 彼女いわく、家族ぐるみで お付き合いしている"伯爵"が、毎年、 このパ一テイ一に御招待して下さるそうな。

とにかく、Susieは、その女性を助けるべく、 側にいた弟の携帯デンワで999に急いでダイヤル。

「カミナリが女性に落ちたの。 バッキンガム宮殿に救急車をよこして一!」

ところがどっこい、ポリスは、悪質な イタズラ電話と勘違い。 なにせ現場は、あのバッキンガム宮殿なのだ。

「住所を言ってみろ」とポリス。

「そんなの知らないわ。彼女が死ぬ前に、 トットと救急車呼んで。宮殿によ!」

もし、こんな出来事が、皇居で起きたら ど一なるのだろう? いざという時の為に、皇居の住所、覚えとく?

その女性は、Susieと弟の素早い対応のお陰で、 一命をとりとめた。

「翌日の新聞のトップニュースだったの。 "宮殿にカミナリ"って」

ちなみにその女性は、エリザベス女王直筆の お見舞の手紙と今年のパ一テイ一のご招待を 受けたとのこと。

そしてSusieの粋な発言が出た。

「今年はあなたも出席よ。 伯爵にOKもらってあるから」

U n b e l i e v a b l e !!
( 信じられな一い )

ミッシェル福島inバッキンガム。

さあ、テルテル坊主を作らなきゃ。 何を隠そう、私は"雨女"。


PLEASE

モデル:ミッシェル福島, 斎藤 諒
( ミッシェル福島の甥っ子 4才 )
コート提供:HIROKO TANAKA LONDON
諒くんの声



外国に滞在経験のある日本人女性 にとって、忘れがたいのは、男性から 受ける" レディファ一スト "だろう。

ロンドンで暮らし始めた頃、男性が皆、 親切だったので、「 私ってモテる ! ! 」 と、マジで勘違いした程だった。

そのレディファ一ストに使われる言葉 といえば、これ、" P l e a s e "。

車のドアを開けて「 Please 」、 エレベ一タ一やエスカレ一タ一の 乗り降りに先を譲って「 Please 」。

そしてお勘定を支払う時は、 あなたに「 Please 」。ヤダ一!

--- 数年前、 ロンドンに留学していた時のこと。 私の住む寮に電話があった。

「明日、ディナ一でもどお?」

こう切り出したのは、男友達のジャン。 パンクバンドのベ一シストで、彼の 自慢は、七色に美し〜く染め上げた、 ニワトリの様なトサカ、ではなくて"髪"。 なんでもソ一ホ一にオ一プンした店 に、エスコ一トしてくれると言う。

私が「OK」と答えると彼は続けた。 「でもリハーサルがあるから、君を 迎えに行けないんだ。だから店でネ」

--- 翌日。ドレスに迷って、 やっぱり、きっちり遅刻。 タクシ一で店へ。

ジャンが居ます様に、と私は願いつつ、 ガラス越しに店内を覗いてみた。 七色のトサカ.....トサカ......あった! 「ジャンだ」

私が急いで店に入ると、トレンディな ロンドンピ一プルで賑わっていた。 そんな中、ス一ツ姿のジャンが、奥 の席に座らずに、向いの席にポツン、 と座っているのが目に入った。

「sorry !」と 私が彼のテ一ブルに掛け寄ると、 彼は笑顔でこう告げた。

「君の席だよ。 Please」

なんと彼は、私を奥の席に座らせる 為に1時間も壁と向き合いながら、 待っていたというではないか。 うんま一。涙が出るわ。チ一ン。

そして2人、気を取り直して、 豪華なメニュ一を開いた--- 。

ん? 値段が出てないゾ。

「ここはね、女性のメニュ一には、 値段が書かれていないんだ」とジャン。

なんでも、イギリスの高級レストラン では、この様なシステムをとっている 店が多く、女性に値段を気にせずに 料理を選んで頂きたい、という趣旨 らしいのだ。

こう話すジャンのトサカとス一ツ姿が、 不思議な雰囲気を醸し出す。

「ジャンって見かけによらず、 紳士なんで驚いちゃった。 この席も私の為に取っててくれたし」

「ハハッ。 自然に振る舞っただけサ。 子供の頃から親父に "女性は大事にしろ"って 言い聞かされてきたしネ」

この" Please "の精神は、 『 Father to son  』、

そう、父から息子へ、 教え継がれてゆくもの なのかもしれない。


RIDICUROUS

model:Michelle Fukushima & Edith Chung



外国人と付き合う場合、 ちょっとした心構えが必要である。

特に、イギリス人女性には、 ビーケアフル、プリーズ。

なぜなら彼女達は、 日本人の想像を絶する程 "ヒステリー"になるからだ。

実は、彼女達がヒステリーに陥る前に、 かならず発する単語がある。

それは " ridiculous "。

これには"ばかげた、サイテー" という意味があるが、なぜか これを発したのを機に、彼女達は、 見る見るヒステリーになる、 不思議な単語なのだ。

故に、この単語を聞いたなら、 即、退散するのがよろしい。

先日、香港に住む"Edith Chung" が京都にやってきた日、 久しぶりに、この単語を耳にした--。

1年振りの積もる話をペチャクチャした後、 ディナーへでかけることになった。 とそこへ、私の携帯phoneに電話ががかった。

「私もジョイントしていい?」

その電話の主とは、Edithの知り合いで 京都に住む中年のイギリス人女性。

彼女はEdithから、私の携帯の番号を 聞いていて、デパートにある公衆電話から 電話をかけてきたのだ。

「じゃ、祇園の南座で落ち合いましょう」

南座に行くと、金髪の女性が、 たくさんの紙袋をかかえて待っていた。

無事、合流した後は、 ミッシェル福島オススメの居酒屋へ。

「ここはね、舞妓さんにも人気あるの」

と私は言いつつ、料理をオーダー。 暫くすると、テーブルいっぱいの 料理が並べられた。

と、その時、彼女がいきなり、 絶叫するではないか。

「 I lost my wallet !! 」

ナニー、財布を無くしたって---。

彼女は"オーマイガ"を連発しながら 何度もバッグや紙袋をチェックするが、 財布はいっこうに見つからない。 そして彼女は発っしたのだ---。

「 R i d i c u l o u s ! 」

なんでも彼女は、 私の携帯に電話した際、公衆電話の上に、 財布を置き忘れたのだという。

続けて、思いもよらぬ発言が出た。

「あなたの携帯に電話をかけなきゃ、 こうならなかったのよ!」

ムッカー---------。山に埋めるゾ。

だけど、逃げ遅れた私が悪いのネ。 さらにヒステリーはエスカレート。

「あなた達が私を迎えに来てくれれば 忘れずに済んだのよ。etc......」

ひと通り暴言を吐いた後 「探してくる」と、 彼女は店を出てしまった。

あっけにとられたEdithとわたしは、 二人一緒にハモった。

「 She is r i d i c u l o u s ! 」
彼女ってサイテー!

そしてつい先日、なんと、あの彼女から、 クリスマスカードが届いたのだ----。

「財布、見つかったの。 カッとなると止まらない私を許して」

考えとく。


『Cultural Sushi』
日本と世界の文化の違いをエピソードとともに綴ったエッセイ